相続税の申告書は、必ず相続人全員の連名で提出しなければならないの?

答えは、その必要はありません
相続人バラバラで提出しても構いません。

相続税の総額は、被相続人(亡くなった方)の遺産の全てと相続人とその数で計算され、それを各相続人が各々相続した額に応じて振り分けて其々納付する事となりますので、遺産を相続もしくは遺贈により承継した方全員で連帯して申告するのが一般的です。
(申告書は、まず左端に遺産総額や税額控除等の総額を記載し、其々割り当てるように記載します)

然し、申告書を別々に提出する事はあまり珍しくもなく、その理由として次のような事が考えられます。
①相続人の一人が遺産を取り込んでいる可能性が高く、遺産範囲について疑義がある。
②遺産分けがなかなか決まらず、話し合いもだんだん疎遠になり、連名で提出するのも嫌になった。
③相続人が手続中に死亡(数次相続と言います)し、その相続人のみ別途遺産分割協議と申告書を提出する事となった。
等々、色々ありますが、一番多いのが①です。

家督相続制度も無くなっていき、権利義務が平等となっている現民法下においても、どうしても不公平感などが完全に払しょくできるとは限りません。
初めは些細なことから、お互いに疑念が増幅され、信用できなくなるということは多いです。

特に、多額の生前出金があるが、被相続人の自宅にはなかった。
出金履歴を確認したが、被相続人の自宅から離れた銀行のATM(使えるはずがないのに)から頻繁に出金されていた。
出金されているATMの所在が、相続人の自宅周辺と勤務先周辺に集中している。
被相続人ができるはずがないインターネットバンキングにより、振込がされていた。

と言うような、取り込みが疑われることがわかると、一瞬でお互いの信頼関係が崩れます。
因に、通帳や取引履歴を見ると、出金したATMの場所や振込方法などはすぐわかります。
また、平成21年の最高裁判例以降、相続人1人からでも要請があれば、金融機関は残高証明や10年分の入出金履歴を提出する義務があります。(但し有料です)
このような状況で、申告書を連名で提出すれば、ある意味取り込みを認めたことになりかねないので、別々に申告書を提出することがあります。

デメリットとすると、これは仕方がないことなのですが、税理士へ払う報酬も相続人が別々に負担することになるということでしょうか。