分割で相続税を払いたいが、“延納”と金融機関からの“借り入れ”はどちらが得?

どちらが得かどうかは、延納する税額だけでなく、相続財産や担保物、延納期間などから総合的に判断する必要があります。

延納特例基準割合といい、銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12 で除して得た割合を基に算出したものを考慮して、利子税の割合(いわゆる利息)が決められます。 因みに、本日(平成28年7月時点)の延納特例基準割合は1.8%前後のようです。
また、相続した財産の内に、現金化しにくい不動産等の占める割合に応じて、利子税の割合が決まります。
もし、不動産等の割合が75%以上の場合の延納利子税の割合(年利・0.1%未満切捨て)はそれぞれ次の通りとなります。
預貯金・債権等の動産部分 5.4%×(1.8%÷7.3%)≒1.3%
土地・建物等の不動産部分 3.6%×(1.8%÷7.3%)≒0.8%
計画伐採立木部分 1.2%×(1.8%÷7.3%)≒0.2%

例えば、延納を申請した相続人が納付すべき相続税額の内、申請が認められた相続税額が1億円、相続した遺産のうちに不動産等の割合が80%の場合の延納利子税額は次のとおりとなります。
預貯金・債権等の動産部分 1億円×20%×1.3%/年=26万円
土地・建物等の不動産部分 1億円×80%×0.8%/年=64万円
最初の1年目に払う延納利子税の合計90万円(実質0.9%/年)
因に、延納の判定や延納利子税の計算は、申請する相続人に行います。

前置きが長くなったのですが、有利判定の判断材料の一つが、この利子税の割合(≒利息)と思います。

あと、重要な点は、『抵当権の設定』に係る費用です。
不動産を担保にする場合、担保の設定には登録免許税がかかります。
(担保の対象となる借入の0.4%)
登記を委任される場合、その他に司法書士手数料がかかります。
又、完済した場合には抹消の手続きが必要となります。
然し、延納する場合、税務署が職権で行いますので、相続人が負担することはありません。
先の例の場合、1億円の0.4%である40万円+αの負担があるかないかの違いがあります。

延納特例基準割合は毎年改定されますので、確実なことは言えませんが、現時点では以下のような場合には、延納を申請した方が得だと思います。
①不動産を売却して相続税を納付する予定だったが、諸般の事情により申告期限から1年ほどかかりそう。
(別の視点から言うと、「延納の期間は1年以内の短期間で終わりそう。」)
②金融機関と相談したが、借入の年利が0.5%未満になることはなかった。
③不動産の割合は75%を超えている。
④マイナス金利政策が続いている。

以上は仮定の話ですが、最も重要なのは、個々の事情に合わせてしっかりとシミュレーションを行った上で判断すべきだと思います。