遺言について(7) ~遺言の執行が不可能な場合~

今回は、遺言を執行するにあたってのトラブルの対処についてです。

遺言について、無効・失効となるケースはどのようなものがあるでしょうか。

まず、よくあるのが遺贈の放棄受遺者が先に死亡していたりするケースです。
民法第994条第1項「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。 」
とされています。
民法第995条「遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。 」
とも示されています。
つまり、受遺者が先死亡していた場合には、その受遺者が受け取るべき遺産について遺言無効となりますが、もし遺言に「先に死亡していた場合には○○へ」と定義されておりその人が遺産を受け取れるのであれば問題ありません。

その他、遺産となるべきものが遺言者によって先に処分されていたり、遺言への記載漏れや記載内容の誤りや、前回紹介した受遺者が欠格に該当その他各種法令の制限により執行できないケースもあります。

また、遺言の全部または一部が無効となり執行できない場合には、995条の前段通り相続人による遺産分割協議の対象となります。
ちなみに、無効となった部分について法定相続分で分けなければならないという規定はどこにもありませんので、あくまでも相続人同士の話し合いによります。
もし、民法の規定通りに分割しようということになれば、遺贈=特別受益(民法第903条)を考慮する必要があります。
繰り返しますが、遺贈とは遺産の贈与なのですから。
特別受益を加えた遺産総額に法定相続分を乗じて各相続人の相続分を算出し、そこからそれぞれの特別受益を各々減算することとなります。
相続分から特別受益を減算してマイナスとなっている場合、いわゆる遺留分侵害となっている場合がありますので、請求に応じて調整することとなります。

次回は、最近であったトラブルについて紹介します。

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遺言について(6) ~遺贈の放棄(2)~

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