遺言について(5) ~遺留分(3) 特別受益~

今回は、遺留分の計算の基準となる財産のうち、『贈与した財産の価額』について書きます。

計算方法は、民法第1030条に規定されています。
「贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。 」

これは2部構成となっております。
①相続開始前の1年以内に、他人(親族関係なしと言うことです)へ行った贈与
②一年以前の他人への贈与についても、相続開始時に遺留分を侵害することをわかっていて(悪意)行った贈与
(ここでいう悪意とは、法律上の定義で「ある事実について事前に知っていること」をいいます。)

“贈与”とは何かと言うことは、税金面からの視点として別テーマとして掲載しておりますので、もしご興味がありましたら、そちらの方もご覧ください。

民法では、基本として1年間に規定していますが、最高裁の判例では、推定相続人への贈与は善意・悪意に限らず②の無期限となるようです。
最高裁の判例は“判例法”と法律とほぼ同格なので、しっかり認識しておく必要があります。

ここでいう贈与には、民法第549条~第554条だけでなく、次のものも含まれます。
イ)結婚や養子縁組の際に、いわゆる「支度金」や「持参金」として渡した(贈与した)財産
ロ)兄弟間で学歴が異なって出してもらった学費に差がある場合のその増差分
ハ)住宅の資金の授受など、暮らしをたてる為の資金(財産)援助
ニ)悪意が前提ですが、被相続人と相続人間において不当な価額で財産を売買した場合の、正当な値段との差額

なので、遺留分を少なくするために事前に贈与や低額譲渡などしても、減殺請求されるということです。
前回書きましたが、遺留分を確保した遺言を必ず残すという士業の人は、この点理解しているのかとても疑問に感じます。
とてつもなく細かいヒアリングが必要で、遺言される方の負担を増やすだけ(アドバイザの自己満足)だと思うのですが。

前回ブログ
遺言について(5) ~遺留分(2)~

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