相続放棄の効果

相続放棄について、前回まで放棄の手続き面を中心に書いていました。
今回は、相続放棄そのものの効果について検討してみます。

相続放棄の申述が受理されその手続きに何ら問題がなかった場合、その結果は戸籍謄本などに反映されるのでしょうか?
答えは、一切反映されません
相続放棄の申述とは、原告と被告が行う裁判とは異なり、自分自身のみが行う行為です。
つまり、家庭裁判所が申述を受理することで、相続人の相続放棄の“意思表示を公証”するということです。
因に、『公証』を辞書で調べると「特定の事実または法律関係の存在を証明する行政行為」であり「認識の表示」だということです。
要約すると、「家庭裁判所が相続放棄の意思表示を証明してくれる」と言うことでしょうか。
あくまでも証明だけなので、戸籍への記載などが行われるわけがない(例えば、家裁が市町村等へ記載を指示しない)ということです。

なので、利害関係人が相続人を調査する為に戸籍謄本を確認しても一切記載が無いので、相続放棄したかどうかはあくまでも放棄した相続人本人が直接説明する必要があります。

具体的には、債権者は放棄したかどうかは戸籍だけではわからないので、返済の通知や訴訟など起こしてきます。
その時に、慌てず「家庭裁判所で相続放棄の申述が受理された」旨を主張することが大事です。

なお、相続放棄の申述受理の審判は『非裁判説』と『広義の裁判とする説』の対立があるらしいです。
私自身の理解の範疇を超えてますので解説は控えさせて頂きますが、根底にあるのは「非訴手続きで審理がなされることから、これにより相続関係の権利関係の存否が最終的に確定するものにはならない」と言うことらしいです。
つまり、申述受理の審判がなされた場合でも、債権者はその相続人に対して貸金の返還請求訴訟を提起することができます。
提起された相続人は、相続放棄について主張立証することとなります。
その他、前回のテーマで紹介した事例のとおり、一旦は受理されてもその後の“訴訟”で無効となるケースもあります。

放棄すればすべてが丸く収まるというわけではないということですね。