相続人の判定  養子縁組前に生まれた養子の子供は相続人となれない?

現在、民法の改正について議論されていることは皆様もご存じだと思います。
先々月の新聞でも、一面で配偶者の法定相続分を婚姻期間に応じて増加させるというような案もあるようです。
今、明らかになっている論点は、次回のブログにて書きたいと思います。

さて、今回のテーマなのですが、先日士業仲間での何気ない会話から派生した問題です。
ずばり、養子の子に代襲相続権があるのかどうかです。

前提条件・・・但し、全て仮定です。
被相続人(平成27年亡)
相続人は、娘二人と長女の夫(相続開始事前10年前に養子縁組)
ところが、長女の夫で養子の方が、平成25年(相続の開始前)に亡くなられており、その子(長女と養子の子であり被相続人の孫)が2人いる。
被相続人の孫2人とも、養子縁組前に生まれている場合、平成27年相続開始の場合の相続人は誰か?

とこんな話でした。
全くの仮定の話なのですが、多数の意見は「相続人は娘二人のみ」でした。
なぜそんな回答になったのかよくよく聞いてみると「税理士試験の問題集にのっていた」と言うことでした。
でも、正解はどうでしょうか?

正解は、この場合の相続人は娘2人と孫2人の計4人です。
少なくとも、基礎控除額と相続税の総額を計算する際にはそうします。

根拠はと言うと、民法第887条第2項但し書きです。
「被相続人の子が、相続開始前に死亡したとき、(中略)その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。 ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない」
孫は直系卑属なので、代襲相続人には違いないと思います。

では、なぜ「問題集に乗ってた」と言ったのかと言うと、その問題集を確認すると、全くの赤の他人の家族を養子縁組し、その縁組前後で養子の子供が生まれたかどうかという問題が書かれてました。
養子は、縁組後に初めて血族となりますので、養子縁組前に結婚していた妻や生まれた子は、養親とは赤の他人なので、代襲相続権がないのは当然の事実です(民法727条)。
つまり、前述の状況とは全く異なるわけです。

問題集などではなく、民法をしっかり読み込んでいると、このような誤りにはならないと思うのですが、税理士試験において民法が明確に出題されない(どこまでが民法でどこからが相続税法かがあいまいなまま学習され出題されている)という事が最大の問題でしょう。