相続の放棄について

“相続放棄”と言う言葉はご存知でしょうか。
時々、次のような解釈をされている方が見受けられます。
「遺産分割協議書にてなにも相続しないと約束したので、相続放棄をしたことになる。」
“相続分のないことの証明書”の活用もあります。
家庭裁判所への申し出もなく、このような『事実上の相続放棄』をされて放棄をしたと納得されている方も多いでしょう。
実はこれ、本当の相続放棄ではありません

相続放棄とは民法第4章第三節(第938条~第940条)に定義されています。
(相続の放棄の方式)
第九百三十八条   相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
(相続の放棄の効力)
第九百三十九条   相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条   相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
2   第六百四十五条、第六百四十六条、第六百五十条第一項及び第二項並びに第九百十八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。

つまり、相続放棄とは家庭裁判所へ申述(申請のようなもの)をすることにより、初めから(相続開始時点より)相続人でなかったとされるということです。

もう少し違いを具体的に申し上げましょう。
遺産分割が終わって、みんなほっとしたころ、新たに被相続人の多額の負債が判明したものとします。

家庭裁判所にて相続放棄の申述をした場合・・・元から相続人ではなかった為、基本的に負債の返済をする必要がない。
事実上の相続放棄のみの場合・・・他の相続人と平等に負債の返済を負わなければならない

次回は相続人の義務について検証してみましょう。