消費者契約法の一部を改正する法律 その3

平成31年(2019年)6月15日より施行される『消費者契約法の一部を改正する法律』についてです。

今回は、「無効となる不当な契約条項の追加等」についてです。

正しくは、第8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)と第8条の2(消費者の解除権を放棄させる条項等の無効)の条項“等”が追加され(いままでは条項とされているだけでした。)無効となる範囲の例示が拡大した他、第8条の3(事業者に対し後見開始の審判等による解除権を付与する条項の無効)が新設されました。

第8条にて追加され、無効とされる契約文章は次のとおりです。
(事業者とは、消費者に対して販売等の役務の提供を行う者です)
1項1号:(事業者の債務不履行時に)当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
1項2号:(事業者の債務不履行時に)当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
1項3号:(事業者の不法行為により)当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
1項4号:(事業者の不法行為により)当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
1項5号:(隠れた瑕疵があるとき)当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
つまり、事業者の債務不履行や不法行為により消費者が損害を被った時に、その判定を事業者が行う事自体がおかしいでしょうと言うことですね。
隠れた瑕疵については限度にかんする条項はもともとありません。 つまり、“瑕疵”に関しては欠陥の有無が争点であり、限度は元々関係ないというところでしょうか。

第8条の2にて追加され、無効とされる契約文章は次のとおりです。
1項1号:(事業者の債務不履行時に、消費者の解除権を)当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する条項
1項2号:(隠れた瑕疵があることによる消費者の解除権を)当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する条項
元々、解除権の『放棄』は無効として定められていたのですが、“解除権の有無の決定”に関しては今回新たに定義されました。
不法行為がないのは、もともと民法第709条で損害賠償責任を強行的(?)に定めていることから、解除と損害賠償責任の追及ができて当然ということなのでしょうか。

第8条第3項は完全な新設の条文です。
事業者に対し、消費者が後見開始、補佐開始または補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する消費者契約の条項は、無効とする。
括弧の但し書きを除くとこの通りの条文です。
例えば、住居の賃貸借契約書において、「賃借人が成年被後見人になった場合、直ちに、賃貸人は契約を解除できる」と定めていたとしても、この条文は無効で契約解除できないということですね。
但し、後見人や監督人の怠慢(瑕疵)により家賃が相当期間滞納した場合については、解除の余地はあるものと思われます。
あくまでも被後見人等になったという理由だけで解除はできないということですね。
あと、事業者に規模の制限はありませんので、1室でも貸家業を営んでいれば“事業者”です。