不動産の賃貸借(3) ~敷引き特約は無効?~

近頃は、賃貸借契約でほとんど見なくなりました。
『敷引き』についてです。

そもそも、敷金自体あまり徴収することがなくなったようです。
新聞その他、敷金の返還に関するトラブルが一方的に取り上げられた時期もあり、敬遠するようになったようです。
また、オーナーも預かった時にはよいのですが、賃貸借契約が終了し返還する際には損した気持ちになり、それならば返済義務のない『礼金』をもらっておこうという気持ちが強くなってきたという面があります。

“敷金”と“礼金”は返済義務の有無という違いがあります。
つまり、“権利金”を受け取った際には、あくまでも預りなので、所得の増加とは言えず利益とはなりません。
対して、“礼金”については、受け取ると同時に所得となるので利益となります。 言うまでもなく、税金の対象となります。

あと、“敷引き”と言ってもピンとこない方もおられますね。
関西ではよくあることなのですが、関東ではもともと見受けられないもののようです。
簡単に説明しますと、敷引きとは、要返還債務である敷金の一部について無条件で返還しない“特約”です。
例えば、敷金50万円敷引き3割という契約を締結した際には、賃貸借契約を解除する際に50万円の7割である35万円を返還すればよいということです。

そもそも、敷引きとは、賃貸借契約終了後に行われる原状回復費用を補てんするものという解釈もあります。
改正民法(現時点では施行前)では、通常の使用に伴う損耗や経年劣化については賃借人にその回復の負担を求めないことが明文化されましたが、これをもって敷引き特約が無効というわけではなく、あくまでもその特約が賃貸借契約書において明記されていない契約を締結したことが前提であると推測されます。
公序良俗や信義則に反しない限り、契約自由の原則は根底にありつつけるのではないでしょうか。
もちろん、敷引きの性格は前述の解釈だけではありません。

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不動産の賃貸借(2) ~賃貸借の更新の拒絶・つづき~