今回は、エアコン(クーラー)から水漏れが発生し、それを賃借人が放置したことによるトラブルに関する原状回復について確認します。
つまり、水漏れを放置したことによって、壁が腐食するなどした場合についてです。
賃貸借契約書に別段の定めがない限り、これは賃借人の負担となるのは当然のことだと思われます。
なんといっても“放置”は論外です。
但し、エアコンの所有者が誰かによって若干ニュアンスが異なります。
①賃貸人が設置したエアコン(入居前から設置されていた)の場合
賃借人は、水漏れが起こった場合には、直ちに賃貸人へ連絡し、賃貸人も直ちに修理する義務があるでしょう。
この連絡が遅れたり、修理までの水漏れを放置して使い続けたことにより壁にまで損傷を与えた場合には、善管注意義務違反と言われても仕方がないと思います。
対して、賃貸人が修理をほったらかしにして、賃借人の清掃だけでは至らず壁が損傷した場合には、別の問題となります。
不動産の賃貸借(11)でも紹介しました通り、現代においてエアコンは生活必需品であることは常識となっておりますので、その故障を放置するなどある意味“強制立ち退き”と言われても仕方がないのではないでしょうか。
②賃借人が設置したエアコン(入居後に賃貸人の許可を得て取り付けた)の場合
これはどうしようもないでしょう。
善管注意義務違反は免れないのではないでしょうか。
もし、修理の手配を遅滞なく行ったとしても、その委託業者の修理が遅くなった、もしくは委託業者の修理ミスで被害が拡大したというような場合でも、賃借人が原状回復義務を負うのが常識と言えます。
この場合は、賃借人は業者に対して別途損害金の請求をすることとなるでしょう。
「自分はまかせたので賃貸人は委託業者と直接損害賠償について交渉して」などは言えませんので、ご注意を。
前回ブログ
不動産の賃貸借(12) ~壁の穴(画鋲・釘穴・ねじ穴)の原状回復~
